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令和5年度の事業の概要
わが国の経済は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受け、個人消費や生産に一部弱めの動きがみられるものの、繰越需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかに回復してきた。また、先行きも所得から支出への前向きの循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな回復を続けていくとみられている。
金融面については、内外の経済や金融市場を巡る不確実性が依然として高いなか、金融・為替市場の動向やそれに伴うわが国経済・物価への影響にも十分注視する必要がある。日銀は、イールドカーブ・コントロールの枠組みやマイナス金利政策などの大規模な金融緩和はその役割を果たしたと考え、長短金利操作を撤廃、また、マイナス金利政策を解除し、17年ぶりに政策金利を引き上げた。金融政策は正常化に向けて新たな段階へ移行しており、引き続き、2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じた金融政策を運営していくこととしている。
農政については、「食料・農業・農村基本法」の制定から四半世紀が経過し、昨今では、世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障上のリスクの高まりや地球環境問題への対応、海外の市場の拡大等、わが国の農業を取り巻く情勢が制定時には想定されなかったレベルで変化している。このため、その内容を検証し、見直しに向けた議論が行われており、令和7年には改正された基本法に基づく新たな食料・農業・農村基本計画の策定を目指しているところである。
県下の農業については、令和4年度の農業産出額が1,245億円となり、前年比で増加したものの、農業経営体数の減少、農業就業人口の高齢化の進行、担い手の減少等、課題は少なくない。引き続き、県と県内農業団体とで設置した大分県農業総合戦略会議による農業システム再生に向けた行動宣言のもと、生産者・農業団体・行政が一丸となった具体的取組が進められており、JAグループも農業者の所得増大と農業生産の拡大を通じた大分県農業の再生に取り組んでいる。
このような情勢のなか、当会は、経営3ヵ年計画並びにJAバンク大分中期戦略の中間年度にあたり、「JAバンクならではの金融仲介機能の発揮」と「徹底的な業務効率化によるコスト構造の抜本的見直し・人材創出」を骨子とした具体的な取組みを実践し、JAの信用事業を補完するとともに、県域一体となった持続可能な収益構造の構築に取り組んだ。
また、JAバンクの一員として、基本的使命と社会的責任を果たすため、JAバンク基本方針に基づいた内部管理態勢のより一層の強化・健全性確保を図り、併せて、コンプライアンス基本方針の遵守とリスク管理の徹底及び収益基盤の拡充強化と経営の合理化・効率化に努めた。
JAバンク大分中期戦略の取組状況
令和5年度は、JAバンク大分中期戦略の中間年度であり、「農業・くらし・地域」の各領域での取組みにおける方向性は不変であり、各領域の着実な実践・加速化に向けJAバンク大分として信用事業を起点としつつ、総合事業性を最大限生かした「金融仲介機能の発揮」、またその土台となる「徹底的な業務効率化」等に取り組みました。
1.「農業」領域における取組み
①農業者の経営の安定・成長に向けた経営課題の解決
②農業者と消費者をつなぐJAバンクならではの取組み、農業者の豊かなくらしの実現に向けたサポート
③バリューチェーン構築・強化に向けた地域の食農企業との関係強化
2.「くらし」領域における取組み
①組合員・利用者の豊かなくらしの実現に向けたライフプランサポートの実践
②利用者に農業振興への関心・参画を促す金融サービス・施策の提供
③地域住民のコミュニティ維持に資するインフラ提供・組合員・利用者のデジタル化進展、デジタルサービスを活用した新たな接点の構築
3.「地域」領域における取組み
①それぞれの地域の課題・住民ニーズに即した地域活性化への取組み
②農業振興を意識した地域活性化の取組み
4.業務効率化にかかる取組み
①コスト構造の抜本的見直しと人材創出に向けた取組み
最近の5事業年度の主要な経営指標
(単位 : 百万円、口、人、%)
(注)「単体自己資本比率」は、「 農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」(平成 18 年金融庁・農林水産省告示第 2 号) に基づき算出しております。
貯金
県下JA、連合会及び地方公共団体・個人・法人より資金調達に努めた結果、貯金残高は、当期首比238億円減少し4,606億円になりました。
貸出金
農業専門金融機関、地域金融機関として農業・系統関連企業・地場優良企業・地方公共団体等の貸出に努めた結果、貸出金残高は、当期首比140億円増加し808億円になりました。
有価証券
海外では欧米を中心にインフレ懸念が和らぎ、中央銀行の利上げ終了観測が高まっている一方、日銀はマイナス金利政策の解除を行い、今後も追加利上げの可能性もあるなど不安定な運用環境となるなか、各国の財政・金融政策や市場動向等を注視し、期間収益の確保及びポートフォリオの改善に努めた結果、有価証券残高は、当期首比115億円減少し1,256億円になりました。
損益の状況
当年度の経常収益は、前期比1.5%増加しました。
また、当期剰余金は530百万円で、当期未処分剰余金は1,170百万円となりました。